先輩上司と秘密の部屋で
赤く上気した肌の上に伏せられた、長く濃密な睫毛。
蠱惑的な雰囲気をまとったキレイな寝顔に、杏奈ハッとして息を呑んでいた。
「な、なんだ、お兄ちゃんか……」
ソファーに寝そべった隼人は、胸元を規則的に上下させている。
漂うお酒の匂いに、杏奈は反射的に顔を顰めていた。
「ちょっと、まさかお酒飲んだのっ?」
肩を揺すってみても、一向に起きる気配はない。
隼人はアルコールが極端に苦手で、一滴飲んだだけでも顔が真っ赤になる体質の持ち主だ。
だからたまに会社の人と付き合いで飲み会に行っても、進んでハンドルキーパーを願い出るほど、お酒を嫌煙していたはずなのに。
「ねぇお兄ちゃん、大丈夫なの?」
「……ん……」
酩酊状態の隼人は、杏奈の問いかけに答えることすら出来ない。
うっすら開いた隼人の瞳が杏奈の姿を捉えると、その目尻はとろけそうな程甘く垂れ下がっていた。
「……れ?あんな、だぁ……」
形のいい唇が、掠れた声で杏奈の名前を呼ぶ。
次の瞬間杏奈の後頭部に強い力が加わり、隼人の胸の中に顔を押し付けられてしまった。