ラブソングは舞台の上で

晴海は私のベッドに視線を向けた。

あの日のことを思い出したのか、大きくため息をつく。

「本当にごめん。酒を言い訳にしたけど、あれは完全に俺が理性を失ってた」

晴海は本当にすまなそうに頭を下げた。

実際のところ、私は嫌ではなかったのだから、そこまでかしこまられると気持ち悪い。

「謝らないで。キスなんて気にしてない」

厳密に言えば「気にしてない」というのは嘘になる。

この場合、「嫌悪や怒りは感じていない」という意味で捉えてほしい。

むしろ私は、もっとしてほしかった。

「でも、俺、完全にスイッチ入ってたし……」

「あれ以上は未遂だったじゃん」

むしろ未遂だったことを謝ってほしい。

私はその先を期待していた。

キスなんて気にしてないけれど、晴海がその先を思い止まったことについては、かなり気になっているのだ。

「あのさ」

「なによ」

「やっぱなんでもない」

「なんなのよ」

「ごめん」

「ていうか、あんたは私をどうしたいの」

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