ラブソングは舞台の上で

毎日のように携帯やパソコンでテレビ電話をしていたから、顔は見飽きるくらいに見ていたけれど、生の晴海に会うのは正月以来だ。

抱き合うと温かいし、晴海のにおいがする。

これが明日から……いや、今日から毎日続くと思うと心も温かくなった。

ここへ来るために仕事を早く片付け、急いで自宅に戻り、着替え、飛行機に乗ってやって来てくれたのだと思うと、晴海に巻き付く腕の力が自然と強くなる。

「来るなんて思ってなかったから、ほんとに全部片付けちゃったよ」

「いいのいいの。今日はサプライズだからさ」

段ボールだらけの部屋の中へ招き入れるが、腰を落ち着けられるのは、もうベッドくらいしかない。

晴海にはとりあえず、さっきコンビニで買ったペットボトルのお茶を出す。

もちろん、私もそれを飲むのだが。

私はここで初めて、晴海に対して違和感を覚えた。

東京から飛行機で来たにしては、身軽すぎるのだ。

荷物があるとしたら、ジーパンのポケットに入れていた財布と携帯くらいで、他には何も持っていない。

「バッグも何も持ってないね。手ぶらじゃん」

私がそう指摘すると、我が物顔でベッドにあぐらをかく晴海が不適な笑みを見せた。

「いや、それが実は手ぶらじゃないんだな、これが」

さっきベッドの下に脱ぎ捨てたダウンジャケットを引っ張り上げ、ポケットを漁りはじめた晴海は、何かを取り出して私に手渡した。

約10センチ四方の箱だ。

綺麗にラッピングしてある。

見た目のわりに、ずしっと重い。

ポケットに入れるには、いくらメンズのジャケットでも、いささか大きすぎるのではないか。

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