甘く響く

@3

翌日
レイは店先で花に水をやっていた

水滴が太陽の光で輝くのを見て
ヴァイオレット家のリンリン栽培場を思い出した

「レイさん!」

急に呼ばれて
レイは驚いて振り向いた
手からジョウロが落ちそうになるのを
脇から伸びてきた手が支えてくれる


「ゼルさん?どうしたんですか?」

ジョウロを支えてくれた手のさきは
息切れしたゼルがいた

「咲いたんです!」

息切れの合間に苦しそうに言う彼を
理解できずにきょとんと見つめる

「リンリンが咲いたんですよ!」

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