甘く響く
「先日、現当主様が…夢を見たそうです。夢にはお兄様とその奥様が出て来て…その…町の花屋の娘、レイさんなら…なんとか出来るから…と…」


ジーンはそれを聞いて少し笑った
レイは口を開けたまま閉じれなかった

男性は急に立ち上がり、また深々と頭を下げた

「こんな話、信じていただけないと思っております。現に私も信じておりません。ですが、町の花屋にレイさんとゆう女性がいらしたのは事実です。お願いします!どうか一度、一度でいいので屋敷へいらしてください!」


興奮からなのか
早い口調でそう言うと
男性から苦しそうな空気が伝わってくる

夢に見た
そんな理由で使いを出されたこの人もきっと辛いのだろう

レイはジーンを見た
ジーンは呆れたような顔で頷く
レイも頷いて男性の方へ向き直った


「いいですよ。私なんかに何か出来るとは思えませんけど。」


一度見に行くぐらいなら
リンリンがなくなってしまったらきっとみんな困るから

レイの返事を聞いて男性は顔を上げた
そして何度もお礼を言う


「それでは…明日、迎えに来させていただきます。今日と同じ時間に、お願いします。」


そう、男性は言って
店を後にした
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