あなたがいなければ。【短編小説】
時計を確認してから…
『おやすみなさ―――』
母『じゃあ晃くんも今日は泊まりなさい!慧里奈の部屋にね!』
晃『はい!もちろんです!』
『えっ!?私の部屋!?』
母『あとで広菜に言っておくから今はお風呂に入りなさいな!』
『ちょっと無視しないで!』
晃『わかりました。わざわざありがとうございます。では行って来ます。』
母『慧里奈がんばってね~。』
『ばかぁ。』
…という事なのです。
だから眠れません。
自分の心拍数が速くてうるさいから。
だけど…
「じゃっじゃあおやすみ――」
「…どこで寝ようとしてんの?」
「えっ?」
「普通こっちだろ?」
「何言ってんの?」
「だからお前が寝るのは、こっちだろ?」
「頭狂った?」
「…。」
「…」
「じゃあちょっとこっち来て。」
「はい。」
グイッ
「捕まえた♪」
「結局はこうなるのね。」
「さぁ。捕まえた獲物はどうやって食べようか(笑」
「獲物は食べないで逃がしましょう。」
「それはなし。せっかく捕まえたんだ。長い長い時間をかけて…。」
チュッ
「ちょっと晃君!」
「なに?」
「そういうことするなら私、自分の布団に戻るから。」
「そういうことしなければいいんだ?」
「…。」
「じゃあ何もしなーい。」
いやいやいやいや。
私寝たいです。
だから離れて欲しい。
「慧里奈大好き。」
だけど1日だけなら…
「…私も。」
一緒に寝ても良いかな?
「慧里奈。」
「何?」
チュッ
「…」
「我慢出来なくなっちゃった。」
「今日だけ許してあげる。」
嘘。
許さない。
だから、
チュッ
「!!」
仕返し。
「ヤバい。理性が崩れそう。」
「我慢して。」
「もう一回キスしてくれたら頑張る。」
「本当に?」
「あぁ。」
「じゃあ…」
仕方ないよね?
これも自分の身を守るため。
チュッ
「…もうだめだ。」
「えっ?」
チュッ
晃君からのキス。
「抑えられないかも。」
「約束したじゃん。」
「頑張るって言ったの。」
「そんなのズルい。」
チュッ
「慧里奈が悪いの!」
「私何もしてない。」
チュッ
晃君のキスはハマりやすい。
だけど…
「もう止めて。」
「ん~。わかった。」
「…」
「…」
やっぱり少し寂しい。
ギュッ
私は晃君に抱きつく。