あなたがいなければ。【短編小説】
「何?もっとキスしたいの?」
私はゆっくり頭を横に振る。
「じゃあ。もっと甘いやつ?」
私が欲しいのはどっちだろう?
晃君のキスは大好き。
でもどこか足りない。
今までを考えると涙が出てくる。
晃君に会えた事。
さよならしたこと。
また巡り会えた事?
色々あった。
「慧里奈?泣いてんの?」
ゆっくり頭を縦に振る。
すると晃君は私をギュッと抱き締めてくれた。
わかった。
私は晃君と甘いことしたいんだ。
だから…
「――したい。」
「えっ?」
「甘いのしたい。」
「慧里奈?それってキスの事?」
「うん」
「良いの?」
「うん。」
私は涙目で晃君を見ながら言う。
「好きだから。まだ足りないの。」
「俺も好きだよ。」
気付いたこの気持ちは、変わらない。
その日は晃君にキスをされながら、眠りについた。
晃の腕の中は、とても居心地が良かった。