ぽんぽんぼん
梶木君と話す事が出来た。
梶木君が笑う顔まで見れた。
それだけで嬉しくて堪らない。
「うん!絶対残っとく!」
意地悪な笑みを浮かべ「あっそ」とだけ言って去っていく梶木君。
そんな梶木君を今日、見る事が出来て満足です!
例え放課後に何と言われ様とも。
今日最後の授業の終わりを知らせるチャイムが鳴り響くと、疲れたー!という声がそこら中から聞こえてくる。
夏休み明けに久しぶりにする一日の授業を、集中して出来る生徒は少ない。
休みぼけというやつだ。
だから余計に疲れる。
現に私だって全く授業に集中なんてしてなかった。
まあ、私の場合は頭の中は梶木君と放課後話をする事でいっぱいいっぱいだった訳だけど。
「泉。じゃあ、また明日ね!」
「うん!また、明日!」
私に手を振ってからクルッと踵を返すはるるんの髪がふわっと揺れる。
その姿に見惚れていた男子生徒が何人居ることか。
きっと山田君は釘付けだろう。
教室内を見渡すとまだ何人かは残っているクラスメートがいる。
ただ、その中に梶木君の姿はない。
トイレ?用事?
まあ、梶木君も居ない様だし、この教室にまだクラスメートが残っている事だし。
梶木君が今やって来て私に話をする事はない。
きっと梶木君の話っていうのは、誰にも知られたくなかったあの事についてだから。
いくら馬鹿な私でもその位は予想がつく。
放課後になって張りつめていた気持ちを落ち着かせようとふぅっと息を吐く。
その後にベタッと机に突っ伏した。