ぽんぽんぼん
あんな事をした私は、これ位の事は我慢しなきゃならないのかもしれない。
でも、やっぱり。これ以上、……痛い思いは辛いよ。
そう思って懇願する目を向けても、梶木君は真っ直ぐ私を見つめたまま。
そのまま口を開いてしまう。
「って思ってしまいたいけど、どうやったって僕は森山さんを嫌いになんてなれないんだ」
「えっ?」
思わず目を丸くしてしまう。
だって、嫌いになんてなれないって……。
そんな言葉が後ろに続くなんて。
「僕は森山さんが好きだから。付き合いたいって思う程好きだから」
梶木君の言葉に頭が真っ白になる。
「う、…嘘?」
「本当」
ふざけている感じも、嘘を吐いている風でもない。
驚き過ぎたのか、さっきまであんなに止まらなかった涙も止まってしまったらしい。
夢……なんかじゃないよね?
梶木君が私を好き……。
いやいやいや、待て私。
何回も言われてきたじゃないか。
「でも、ウザいって。ムカつくって…」
言葉尻が声にならなかったのは、自分で言ってみると、やっぱりさっきの梶木君の言葉が嘘に思えてしまったから。
こんな言葉を吐かれ続けていたのに、好きな筈がない。そういう思いが消えない。
でも、照れた様に頬を真っ赤に染め、
「そりゃ、森山さんが僕じゃなくて、僕の匂いが好きってあれだけ言われたらウザいって言うし、ムカつくでしょ」
そう言って私の顎から手をスッと離し、少し目を逸らされれば、嘘になんか思えない訳で。
取り敢えず、
「あっ、……すみません」
と、ぎこちなく頭を下げるのは明らかに変だったかもしれない。