ぽんぽんぼん
梶木君のクスクスという笑い声が教室に響く。
「でも、森山さんは僕の匂いだけが好きなんじゃなくて、僕自信が好きなんでしょ?付き合いたいって思う程に」
「う、…うん!」
私の気持ちはあの時伝えたまま変わらず胸の中にいらっしゃる。
「それにさ、好きじゃない人にキスなんてしないし」
「えっ!?」
さらっと言われたけど、とんでもない発言。
キスって……。
あの時の?
「忘れたの?」
意地悪に片方の口角を上げてそう聞かれた瞬間、一気に顔が熱を持つ。
梶木君が風邪をひいて学校を休んだ日。
梶木君のお見舞いに行った日。
「か、かかかか梶木君の家で…」
「したよね。キス」
吃りながら答える私とは違って、ニヤッと笑う彼は余裕そう。
「あ、ああああれは事故では!?」
「何で?」
何で?って。
それは、
「梶木君、熱があったから意識が混乱して」
キスしちゃったんだと思ってたんだけども。
モゴモゴと小さな声でそう言うと、梶木君の眉間にグッと皺が寄る。
「混乱なんてしてなかったけど」
少し苛立った様に予想外の言葉を断言してくるその姿に、一瞬息を呑んだ。
混乱してなかったって……。
頭の中は自分に都合の良い答えばかり導き出した来る仕組みになっているらしい。
でも、そんな都合の良い答えを口にする気にもなれなくて。
まだ、梶木君の言っている事が信じられなくて。
必死に頭の中から、都合の良い答えに結び付かない記憶を引っ張り出す。