ぽんぽんぼん



「僕が森山さんを嫌いになるなんて事、ある筈ないのに」



優しい目を向けられてそんな事を言われるのに、慣れていない。


だから、


「いや、…でも、梶木君が隠していたかったものをバラしたし。それにその前から、匂いを嗅ぎに来る女なんて嫌だろうなって思ってたし」



ぐちぐちと、後ろ向きな言葉を吐いてしまう。


両肘を机について、そこに顔を乗せた梶木君がじっと私を見つめる。


ただ、見つめ合うだけの時間。


ドキドキと大きな音を頭に響かせてくる私の心臓は、もう爆発寸前だと思う。


この時間が永遠に続くんじゃないかと思った瞬間、暑い教室に少しだけ開いていた窓からふわっと涼しい風が通り抜けていく。



「ねえ、森山さん」


「えっ、…はい!」



突然の呼び掛けに驚いてビクッと肩を揺らしたが、梶木君はそれをフッと鼻で笑うのみ。


そして、再び口を開く。



「もうすぐ秋祭りだよね」


「あっ、…そういえばそうだね」



秋祭りは、夏祭りというものが全て終わった時に開かれる。


夏も終わってしまって、まだ暑いけれどもう秋がやって来る。


秋祭りに変わってからも、思い出のおばあちゃんに会えるかも知れない!と思って欠かさず行っていたっけ。



今年は、……今年はどうしよう。



「ばあちゃんが亡くなった5年前から祭りっていうのには一度も行ってないんだ」



あっ、……そっか…。


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