ぽんぽんぼん
「そ、…そうだったんだ」
梶木君にとってのお祭りは、楽しい思い出じゃないんだ。
おばあちゃんが亡くなった思い出に繋がるんだ。
梶木君の言葉が胸に重くのし掛かる。
梶木君は、……もうお祭りというものには、一生行かないんだろうか。
それはそれで、……何だか悲しい。
勿論、梶木君にとっておばあちゃんが亡くなった思い出があるのは分かってる。
でも、でも、……おばあちゃんと笑い合いながら、楽しんだお祭りの思い出もきっと溢れている筈だから。
目の前の梶木君は、窓の外へと顔を向け目を細める。
その目には一体何が映っているんだろう。
「だからさ…」
少し掠れた様な彼の声音が風に乗る。
「だからさ、……久し振りの祭りに。もうすぐある秋祭りにさ。……一緒に行ってよ、森山さん」
「えっ!」
少しづつ紡ぎ出された思いもよらない彼の言葉に目を見開く。
「私で、……良いの?」
梶木君が一歩に踏み出す瞬間を私なんかが一緒に居て良いの?
もっと大切な人じゃなくて良いの?
そんな疑問から首を傾げる私に向かってふわっと優しい笑みを向け、
「良いよ。だって森山さんは、僕の彼女でしょ」
涙が出る程嬉しい言葉をくれるんだ。
「私、…彼女?」
「嫌なの?」
意地悪にニヤッと笑う梶木君は私の答えなんて分かってるんだ。
私が嫌なんて思う筈がない。
だって私は、梶木君が大好きなんだから。
「ううん。…彼女が……良いです!」
そう答えると共に、ぽろぽろと涙が溢れ落ちる。