彼は、魔法使い
うちでは、毎週火曜日、木曜日、金曜日はアシスタント指導の日。


そして木曜日は、テストが行なわれている。


「おい、直樹。それぐらい、把握しとけよ」


省吾さんが呆れたように言う。


「卒業してすぐ来る奴は居ても、スタイリストとしてくる奴なんてうちには少ないだろ」


そういえば、瑞穂さんもここが始めての就職先だって言ってたっけ?


「ふ~ん。こんな感じなんだ、店内って」


いつの間にかこっちに来て、店内を物色している、來都。


「誰?」

「来週から、店に入る奴」


悟さんの問いに、直樹さんが答える。


「來都っす」


「っす」って、なんだよ!


そこは「です」だ、バカ!

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