彼は、魔法使い
「伊織、心配だったんだろうね。あぁ見えて、伊織は優しいから」


まだ笑みを溢しながら、サラさんがそんなことを言う。


「あたしと伊織ってね、中学の時から一緒だったの」

「そうだったんですか?」


あたし、初めて知ったんですけど、、、


「うん。伊織とは中学で知り合って、付き合ったのは高校の卒業式」


そう話す、サラさんが凄く可愛らしく見えた。


サラさんは一言で言うと『ザ・出来る女』って、人。


可愛いとかより、カッコいいが似合うような女の人。


「伊織のどこが、良いんですか?」


自分の兄の彼女にそんなことを聞くのは、とても失礼なことなのかもしれない。


だけど伊織の良さが、全然あたしには理解出来ない。


「そんな風に伊織のことを想ってるのは、芹香ちゃんだけよ?」


フッと、サラさんの顔が緩む。

< 208 / 343 >

この作品をシェア

pagetop