あなたが作るおいしいごはん【完】
ポケットから出された携帯に
「……なっ…何を…する気!?」
驚きながら尋ねると
『…何って?写真撮るんだよ。』
薮嶋恭平はクスクス笑いながら
『…君が俺に襲われてるところを撮って
先生に見せてあげるし
プリントして
教室にバラ撒いてあげてもいいし
あるいは週刊誌やマスコミにでも
売り込んであげようかな…。』
「……えっ!?」
『……笑えるよね。
〔有名料理研究家の押谷和亮は
未成年の女子学生と同棲している上に
彼女は別の男性と
不純で淫らな行為をしていた。〕
なんて、世間に知られたら
先生は確実にイメージダウンになって
番組降ろされるし
あの料理教室も終わるだろうね。
先生の地位も名誉も信頼も
あっと言う間に砕け散る…。
君の所為で、先生は何もかも失うし
君を確実に見捨てる。
君だって、先生に見捨てられて失い
世間に恥を晒して生きてゆく…。
よって…君と先生の仲は壊れて終わる。
そんな惨めな君は
誰にも愛されるワケがないから
可哀想だし俺が拾ってあげる。
だから、君は俺を選ばざるを得ない…。
…最高のシナリオだよね?』
そう言いながら
この男は携帯を開いた。