あなたが作るおいしいごはん【完】
「…やめてよ!!
そんな事…しないで!!
…押谷和亮は私の大事な人だから…。
やめてよ……そんな事は……。」
身体から声を出すように
私は目の前にいる薮嶋恭平に訴えた。
「…“恭君”…どうしちゃったの?
昔の恭君は…引っ越す前の恭君は
そんな人じゃなかったじゃない!!
優しい男の子だったじゃない!!
それに…再会した時の
喫茶店で話をした時の恭君は
そんな目つきも笑い方も
全然してなかったじゃない!!
“料理に興味がある。”って話してた時
良い顔してたじゃない!!」
そう訴えた時
『…黙れよ!!』
薮嶋恭平は私を怒鳴りつけると
携帯を床に置き
私の顎を強引に掴んで上にあげた。
「……!!」
目を見開いた私に
『…君が悪いんじゃないか!!
こうなったら、そんな生意気な口は
俺が聞けなくしてやる!!』
薮嶋恭平がそう言って
顔を近づけて来た。
……嫌!!やめて!!
私が好きなのは……。
顎を掴まれて絶望的な状況の中で
私は残された力で顔を動かして
もがきながら
「…嫌ーーー!!
和亮さーん、助けてーー!!」
……私は全身から声を絞り出して
大好きな彼の名前を叫んだ。