あなたが作るおいしいごはん【完】
『…萌絵、大丈夫か!?』
そう彼が私に聞いた直後
『……あっ!!』
薮嶋恭平に破かれた私のブラウスに
視線がいったのか
彼はハッとした顔をして
『……萌絵…それは…。』
と、一瞬硬直した後すぐに
『…萌絵…これを着てろ!!』
と、着ていたスーツのジャケットを
急いで脱ぎ、私の肩にかけてくれた。
「…迷惑…かけて…ごめんなさ…。」
そう言いかけた私に
『…謝らなくていい!!
それよりも…頬が…。
…赤くなってるじゃないか。』
と、謝罪を遮って
私の左の頬に視線を向けた彼は
『……叩かれたんだな…。
コイツに……クソッ!!』
と、辛そうに顔を歪め
怒りを含ませながら呟くと
チラリと横に視線を向けた。
私もボーッとしながら
視線を向けるとそこには
さっきとは違って
薮嶋恭平が意気消沈した表情で
私の父靖雄と彼の父の秀和社長に
両側から取り押さえられていた。
そしてその場には
父と秀和社長だけでなく
単身赴任先の九州にいるはずの
薮嶋恭平の父親もいた。