あなたが作るおいしいごはん【完】

愛の言葉と明かされ始める真実


***

…何だろう…一体。

どうしちゃったんだろう…。


『…萌絵。』

あっ、遠いようで近い距離から

誰かが私の名前を呼ぶ声がする。


…それにしても、ここはどこ?


重かった瞼が開かれた。


「………。」


まだ視界はぼんやりとするけど

見慣れない白い天井。

何かが私の腕に

巻きついてるような違和感。

鼻を掠める独特のニオイと

…ピッ…ピッ…。

聞き慣れない機械音が私の耳に響いた。



『…萌絵。』

…あっ、この声。

体がピクッと反応した。

私の名前を優しく呼ぶ大好きな声。

『…萌絵…目が覚めたか?』

私の手を握ってくれている優しい手。

『…萌絵…わかるか?』

胸が高鳴りそうなほど

温かくて優しい温もりに

私の目は

段々とハッキリ覚めていった。



『…萌絵…目が覚めたか!?』


目が覚めた私を

心配そうに尋ねる愛おしい声の方向へ

ゆっくりと顔を向けていくと

駆けつけてくれた時の

格好の時のまま

ベッド横のパイプ椅子に座り

心配そうな表情で私の手を

優しく握ってくれている

彼の姿があった。




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