あなたが作るおいしいごはん【完】
涙で滲む彼の顔。
充血している彼の目を
もう一度見てしまった私は
胸が締め付けられるように苦しい。
…違う。
薮嶋恭平の事はあなたの所為じゃない。
私の目から涙がポロリと頬を伝った。
『…萌絵?…大丈夫か?
痛いのか!?
…ナースコールで看護師呼ぼうか?』
彼が涙を再び拭った後
心配そうに私の顔を覗き込む。
頬を撫でてくれる彼の指が
優しく私の涙を拭ってくれる。
私は首を横に振ると
彼の目をしっかり見つめながら
ゆっくり口を開いた。
「……違う。
あなたの…所為じゃない。」
『…萌絵?』
首を傾げる彼に私は言葉を続けた。
「…謝らなければいけないのは…私。
カズさん…ごめんなさ…い…。
私の…所為でごめんな…さい。
私が…喫茶店で
薮嶋恭平と…お茶した事や
あの男の母親に
……会いに行ってしまったから。
私は…そのバチが当たった…。
私が軽率な事を…した所為で
カズさんや…皆に…迷惑…かけた。
私は…押谷和亮の
婚約者…失格だ…と思う。
私の所為で…カズさんの仕事に
支障が出たら…どうしよう。
ごめん…なさ…い……本当に。」
涙で声が詰まり、上手く喋れない。