あなたが作るおいしいごはん【完】

こんな事を聞くのは緊張するけど

ずっと気になっていたから…。

「…カズさんが私を好きになったのは
父親同士が決めた
こんな無茶苦茶な政略結婚を
受け入れてでも
私と結婚してもいいと思ったのは

……本当は私自身が目的じゃなくて
私が【浅倉靖雄の娘】だから
受け入れたんじゃなかったの?」

『…はっ!?萌絵?』

目を見開く彼に対して

私は言葉が止まらなかった。

「…カズさんが料理研究家への道に
進みたい事を反対していた秀和社長を
私の父が説得した事で
秀和社長が折れて賛成してくれて
結果的に夢が叶った。

…そんな私の父を
カズさんは尊敬して恩義を感じてた。
恩返しをしたいとずっと思ってた。

そんな中で政略結婚の話が出て
カズさんは特に私の事なんて
好きでも何でもないし
本当は私みたいな未成年者と
婚約だなんて嫌だとしても
断ると角が立つから
仕方なく私と結婚して
身内にさえなれば恩返しにもなるし
父の期待に応えていける。

だから…カズさんは
父への恩義に
魂を売り払ったんじゃないかって…。」

その時

『…何だよ……萌絵。』

そう呟く彼の声に私はハッとした。








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