あなたが作るおいしいごはん【完】

「……!!…カズさ…ん。」

耳に感じる彼の熱い吐息に

「……あっ!!」

私の上半身に甘い痺れが広がる。

首筋や頬にツンと当たる彼の髪。

頬と頬が微かに触れて心地いい。

嗅覚を邪魔しない為に

教室がある日はつけないと言ってた

ユニセックス系のコロンの香り。

『…ユニセックスだから
萌絵にもあげる。』

と、婚約直後に私にもくれた

お気に入りの優しい香り。

耳元で『好きなんだ。』と囁かれた

《チョコレート》以上に甘い言葉。

ピッタリとくっついていないけど

彼の心臓の音もドクン…ドクンと

一緒に聞こえた。


….…夢じゃない。……嘘じゃない。


いつか本当に

彼から言って欲しいと思っていた

いつか本当に

彼の口から聞きたいと思っていた

待ち望んでいた彼からの

本音の『好き。』って言葉が

婚約してから今日この日に

今やっと聞けたように思えて

「……うっ…ううっ…。」

私の目からも感涙のような

熱い涙が溢れ落ちた。





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