あなたが作るおいしいごはん【完】

その声に振り向くと

『…あっ、ごめん。
萌絵が泣いてる声が聞こえて…。
どうしたのかと気になって
つい…ノックするのを忘れて…。
先走ってしまった…。』

彼は私が

バスタオル姿のままだった事に

一瞬目を見開いて驚き

目のやり場に困ったように

すぐに気まずそうな表情で

視線を横に逸らしながら

少しだけ紅くなった後

『…覗くつもりじゃなかったから…。
ごめん。』

そう一言謝った上で

再び視線を私の顔に戻すと

『…だけど…萌絵は
どうして泣いてるの!?
やっぱり…どこか痛いのか!?』

と、心配そうに私の顔を覗き込んだ。


その瞬間

『…和亮…さん。』

私は自分の今の格好も

恥じらいも忘れて駆け寄り

彼の腕の中に飛び込むと

「……うっ…ごめん…なさ…い。」

背中に腕を回して彼の胸に顔を埋めた。

『……えっ…あのっ、も、萌絵!?』

いきなりのこの状況に

『…どうしたんだ!?
なあ……萌絵。』

バスタオル姿の私が

泣いて抱きついてきたと言う

予想外の行動に

多分何が何だかわからない様子の彼は

困惑しながら私の名前を呼んだ。
< 192 / 290 >

この作品をシェア

pagetop