あなたが作るおいしいごはん【完】

彼は私をリビングに誘導して

『…ドライヤー取ってくるから
座ってて。』

と、私をソファーに座らせた。


そしてすぐに

ドライヤーを持ってきた彼は

ソファーの後ろに立つと

スイッチを入れて

私の髪を乾かしてくれた。


ドライヤーの温かい風と一緒に

髪の間を梳くように入り込む

彼の細長い指先が優しくて

温かみを感じて泣きそうになる。


やがて、指先が何度も

私の地肌に触れる度に

何だかくすぐったい気持ちと

…ドクン…ドクン。

私の胸が高鳴る想いが混じり合う。


…気持ちいいな…安心する…。


彼との強制お見合いの日に

初めて彼と握手を交わした時も

全然嫌じゃなかったように

結納の日に頬を初めて撫でられた時も

婚約して引っ越して間も無く

初めてキスを交わした時も

私は不思議と嫌じゃなくて

逆にドキドキして、体が拒否する事なく

自然と受け入れていた。


まるで魔法をかけられたように

私は段々と彼に惹かれて

いつしか本気の恋へと堕ちていった。





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