あなたが作るおいしいごはん【完】
「………えっ!?」
その言葉に思わず顔をあげると
ふわりと私は彼に
後頭部を引き寄せられ
優しくそっと抱き締められていた。
躊躇いがちに背中に回された腕は
壊れモノを扱うように優しくて
シャツ越しに彼の心臓の音が
…ドクン…ドクンと
私の耳にハッキリ聞こえた。
「……!!」
その音に涙が止まりそうなほど
目を見開いた私に
『…萌絵…….何度も言うけど
もう…謝らなくていい…。
鬱血は数日したら消えるらしいし
迷惑だなんて思ってないから
俺は…“ごめん。”じゃなくて
“ありがとう。”が聞きたいし
愛してる女性から
こんなに謝られると…辛い。』
と、頭上から辛そうに口を開く
彼の声が聞こえた。
その言葉に
「…本当に…怒ってないの?
私は…あなたを裏切ったのに…。」
と、彼のシャツをさらに掴むと
『…正直、複雑には感じたけど
裏切られたとは思ってないよ。
…不謹慎かもしれないけど
あの時萌絵が
薮嶋恭平にひっしで抵抗しながら
俺の名前を呼ぶ声が聞こえた時
俺は………嬉しかった。』
そう言うと彼は
片方の手を私の顎に移動させると
今までとは違う
……噛み付くようなキスをした。