愛すと殺すと
「あ、千晶。もう時間だから帰らなきゃ」
「うーん…」
困ったように笑って。
「次、英語なんだ」
――チャンス。
「そっか。じゃあね」
「うんっ」
彼女は足取り軽く去っていく。
それを横目で確認し、後ろの席の帆音ちゃんにそっと告げる。
「帆音ちゃん、私保健室行ってくるね」
「え?何かあったの?」
「あ…いや、なんかお腹いたくて」
「わかった。先生に言っとくね。大丈夫?」
「うん…」
病状を演技で表し、彼女を追っかける。
階段を降りたのはわかったから、たぶん下。
とりあえず下の階に降りなくちゃ。
階段を降りる彼女を見つけたのは、直ぐだった。
ふらふらと行く宛もないのに歩く。
…こんなのにまけるなんてなあ。
胸のもやもやを認識しながら、彼女に声をかけた。
「千晶ちゃんだよね?」