愛すと殺すと

びくんっと体を震わせて。

ゆっくりと顔をこちらに向ける。
知らない怖い人に話しかけられた子供みたいな目をして。


「誰?…ですか」


私をじっと見つめた。

そして、みるみる顔が真っ黒になっていく。


「猫、女…」


私を化け物みたいに指差して、カタカタ震え、

無言で去っていく。


「まっ……布留くんの彼女さんっ!」


「……」


「千晶ちゃん!」



様々な呼び名で試してみるも、反応なし。

階段を勝手に突き進んでいく。


「彼女さーーん!」

「……なんですか」


本当にイライラしてるのがわかるドスのきいた声だった。

でもめげちゃいけない。

「彼女さんって、バレンタイン知ってます?」

「…知ってます、手料理の日」

なんでそうなった。

「間違ってるような間違ってないような……チョコの日ですよ?」

「はー」

本っ当に興味ないのな。

「布留くんに作ってあげたくありません?手作りチョコで布留くんのハートを掴め!ですよ」

「へー」

「賛成ですよね!週末…土曜教えに行きますよ!」


話を聞いてないことは好都合だた。


「Okですか!材料とか用意しとくんで――寮ですよね、確か」

「へー」

「じゃあ彼女さんと布留くんの寮に直接行きますね!時間とかは布留くんを通して伝えますから」

「はー」

「でわっ」

言うこと言ったから漸く去れた。
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