愛すと殺すと
◇◇◇


ペットボトルを抱えた保健室の前で、話し声が聞こえた。

陽紀くんが来たと言う事実に、胸が踊る。

私服かな。
バイトって言ってたのに案外早いな。

そう思って嫌な考えにたどり着いた。

「……」

来たんだ。


彼女――千晶ちゃんのために。


一瞬、考えが落ちそうになるが。

なんとか陽紀くんの視線を手に入れたいから、表をあげた。

嫌でしょ?
めんどくさいでしょ?あんな彼女。

私がもらってあげるから。


ガラ、と扉を開けて。


陽紀くんと視線が絡まった。


「……」


あぁなんだろ、こんな時なのに



認識されたのがやっぱり嬉しくて、好きだという気持ちが溢れた。


だから、にやけたくなくて。


勢いをつけて助走――陽紀くんの胸板に体当たりした。




先生、私触れたよ?




反動でがくんと後ろに行った彼を、自ら腕を回して支える。

傷だらけの、どうしようもない腕で。


陽紀くん、ごめん。汚しちゃった。


なんて、心の中で呟いた私は、やっぱりまだ拒絶しているのだろうけど。



なんにしても、私としては大きな一歩。



『布留にもおんなじ態度するのか?』


あの一言を思い出す。


陽紀くん。
私は拒絶をしないから。

だから、受け入れてよ。
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