僕らの恋に永遠の名を。
だから、声が出せないのに言えるわけが…。
一瞬、先輩だと言うことを忘れて、突き飛ばしそうになる。
このままじゃ、死んじゃうかも…。
「麻耶、さっきの出して」
愛先輩がそう言うと、麻耶と呼ばれた先輩は、怪しげな笑みを見せ、ポケットから何かを取り出した。
カチカチカチッ
…!?
太陽に反射し、キラリと光るその物体。
「ぃやっ……」
カッターだ。
出した刃を一度しまい、愛先輩に渡されたカッター。
「どーする?喋りたくないなら、これで喋れないようにするけど」
なに…言ってるの?
こんなことをするほど、柚里先輩のこと…。
怖い。
「あたしはあんたを殺してでもユズを…」
「あ、愛…」
後ろで私達を見守っていた愛先輩の友達が、急に震えた声を出した。
「なに?……っ」
なに?誰か…来たの?
呼吸が、うまく…。
「なぁ、梓知らねぇ?」
この声、柚里先輩だ。
なんで私を探してるんだろ。
「あ、いるじゃん。」
さっと、女の先輩たちをかき分け、私のところに来る柚里先輩。
「昼食べる約束してたんだ、わりぃな」
ぐいっと、腕を引かれると同時に、首元が楽になった。
柚里先輩は走って出口に向かおうとするけど、私はさっきまでの恐怖やら不安やら緊張やらで、脚がふらふらだった。
「…」
『あず、大丈夫?もう苦しくない?』
柊ちゃん…。
『平気…』
ぱたん。
屋上から出ると同時に、私をおんぶする先輩。
「先輩!?」
「黙ってろ」
低い声色。
怒って…る?