コイツ、俺の嫁候補。
舞花はきゃあきゃあと盛り上がっているけど、あたしは別に理想が高いわけじゃない。

ただ、イケメンだと認定するラインは高いかもしれないけどね。

那央はそのラインを軽く越えてる。けど、あたしの中で一番はやっぱり樋田先輩だもん。彼を越える人はなかなかいない。



「で、片霧くんと何か話したの?」

「……特に」



そう言われてみれば。何話したっけ?

知ったのは彼の家の場所と兄弟のこと、あとクラスくらいで、特別な情報は何も入手してないし。

……あ、部活入ってるって言ってたけど何部なんだろ。てか、それより問題は自分の部活だって。


ぼんやりと考えながら、ふと体育館へ繋がる廊下の掲示板に目をやる。

様々な部活をアピールしたプリントが貼られた中に、ルーズリーフの切れ端みたいなものが一枚、今にも飛ばされそうに風に揺れている。

それが妙に気になって近付いた。



「……ん? “家事が得意な部員募集中。カセイクラブ”?」



それはただマジックで書かれただけの、本当に募集する気があるのかと疑いたくなるような紙だった。

< 17 / 314 >

この作品をシェア

pagetop