桜が咲く頃～初戀～

『あの時ね。どうか？迷ったんやけど、圭に聞いてもよく分からなかったし。休学が1番良いって先生も言ってくれていたし…そしたらしばらくしてから綾香ちゃんから電話が掛かってきてねそれが大泣きで「圭の人生を嘘で駄目にした！」って。あれから綾香ちゃんと綾香ちゃんのお父さんとお母さんが申し訳無かったって謝りにおいでで来て。「若気の至りと言えど娘にはどんな責任も追わせます」って…』


そこまで百合子が話すと鉄郎は黙ったまんまで何度も頷きながら下を向いたまま酒を呑んでいた。


『何があったかは、その時綾香ちゃんから聞いてるから圭はもう何にも隠さんでええのよ』



そう言って鉄郎と百合子は圭亮を静かに柔らかい眼差しで見つめた。



その2人の目に少し耐えられ無くなった圭亮は溜息と共に顔の真ん中に皺を寄せて苦笑いをし『ご馳走様』と言って席を立った。


鉄郎はそんな圭亮の姿に

『まぁ、焦らんでえい』

と言って烏賊の身体を割いてまた醤油マヨネーズをたっぷり付けて口に運ぶと


『美味い』と満足そうに笑った。

やっと、圭亮の気持ちに話し掛けられた安心感も生まれホットしたのも事実だった。