桜が咲く頃~初戀~
圭亮は実家の2階にある今だに綺麗に掃除が行き届いている自分の部屋に行くとベッドに仰向けに寝転び両手の平を頭に引いて天井を見つめたまま動けなくなった。

今までの自分の悩みが蘇る。あの頃を思い出して今は辛かったとはもう思っていない自分が居ることに気がついた。

日々、何とかして暮らして行くうちに色んなことが更に起きて過去が変わる。

情けないと感じた。昨日の悩みを深く考え苦しくなって泣き叫び誰かに助けてくれと願って、誰も居なくて打ちひしがれてる自分を更に追い詰めた。自分も誰も悪く無いのに誰かのせいにしたり自分のせいにして辛くなった。自分の生き方に間違いを探してばかりで。

どんな良い言葉も心に響かない時もあった。誰かに優しくされたらされたで疎ましくなり。心に何も無くなった訳ではないのに。虚しくなる。


ある日、伊藤のおばぁちゃんの家に東京に行くと話をしに行った日、おばぁちゃんはもう1つ話をしてくれていた。


それは『奇跡』の話しだった。

その話を圭亮は思い返していた。







< 165 / 222 >

この作品をシェア

pagetop