ストレイ・キャット☆シュ-ティング・スタ-
「三上ちゃん!」

 隅の方で大量のビデオテ−プをさばいていたので声を掛ける。

「なんや柏原さん、また来てくれたん」

 三上は立ち上がり、ズレたジ−ンズを引っ張り上げる。

「何やってんのさ?」

「あ、今時代はビデオからDVDに移り変わろうとしてんのさ! 柏原さん知ってる?」

「知ってるよ」

「ごめんゴメン(笑) 今や時代はDVDよ。そやしねぇ古いビデオタイトルを削除してたんよ。新作DVDもアホみたいに入荷してるし、場所無いし。あ〜もう面倒臭い、柏原さんコ−ヒ−飲も。プチ休や」

 三上は事務所を指差してぼくを誘った。
 きな臭い空気。一種独特な空間。女子禁制。時間帯がそうさせたのか、今夜のオカズを狙う野郎たちでいっぱいだ。

「なぁなぁ、サイト入りました? 柏原さん」

「いいや、まだ入って無いよ」

「ふ〜ん」

 ぼくの答えがつまらなかったのか、三上は気の無い返事。そして両足を机の上に投げ出す姿勢になって、胸ポケットから携帯を取り出す。

「なぁ、柏原さん、オレと勝負せん?」

 唐突に口走る三上。

「勝負って何の?」

 腰を下ろしながら尋ねてみた。

「今から、一ヶ月間サイトに入って、おいらと柏原さんのどちらがたくさんのおんなと、最後までイけるか勝負すんの」
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