ストレイ・キャット☆シュ-ティング・スタ-
『電話待ってます。』

 ぼくは震える身体を必死に静止して、さっき久留美から届いたナンバーを机の上の紙切れにメモ、そのナンバーをダイヤルする。

“トゥルルー、トゥルルー……”

「もしもし?」

 初めて聞いた久留美の声。

「あ、もしもし、ショーゴです」

「クルミです。こんばんは」

「あぁぁ(笑)なぜか照れるね! うん、どうした?」

「うん、なんかショーゴ君のメール見ていたら寂しくなって。最後っていうから」

「あははっ、でもいってたじゃん。前から一週間限定って」

「ショーゴ君、いっつもなんか長いメールくれてたから、楽しみにしてたんよ」

 久留美の関西弁が可愛い。

「ショーゴ君、今から逢えないかなぁ、明日仕事だろうけど……」

 思ってもいなかった突然の誘い、もちろん明日は仕事がある訳だが、ぼくは久留美からの誘いを断るはずもなく、その誘いをうける。

「いいよ! 今から逢おうよ」

「いいの? じゃぁ車有るから迎えにいくし、どこにする? 場所。こっち来たばっかりで、あたし地理がわかんないけど、地図見ていくから」

「どこに住んでいるんだっけ? 恵比寿やった?」

「そう、恵比寿だよ。ショーゴ君は、えと上野やったね。どうしよう?」

「じゃぁ、どこまでわかる? 久留美ちゃん」

「どこでもいいよ、地図有るから」

「えと、じゃぁ新宿の丸井前で。えとね、明治通りってわかるかな。その大通りと、あ、とりあえず明治通りを北に向かって走って……わかりにくいかな? どこまでわかりますか?」

「でも、地図有るから大体わかる。でも丸井っていっぱい在るなぁ?」

「あの、今地図見てるかな」

「うん、見てるよ」

「ABC‐MARTって店の前の丸井。わかるかなぁ?」

 ぼくのことばに、受話器の向こうは沈黙。
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