ストレイ・キャット☆シュ-ティング・スタ-
 ぼくは思わずその車に向かって走り出す。そして横に並んでウィンドウ越しに手を振りかざすと、その運転手はぼくに気付いて通り左に車を寄せる。

「久留美ちゃん? ショーゴ!」

 間違って声を掛ける心配なんてこれっぽっちも思っていなくて、ただ必死に声を掛けた。

 ウィンドウがゆっくりと開いて、運転手の顔がぼくの視界に入ってくる。ぼくはもう一度声をかけた。

「久留美ちゃんですか?」
 すると車の中の女性は笑いながら「どうぞ」といった。

 なぜだか胸が熱くなる。ぼくはドアを開いてサイドシートに腰を降ろし、もう一度お互いの顔を見合わせて挨拶をする。

「あ、久留美です。初めまして」

「ショーゴです。かわいいね!」

 思っていた通り、いや、それ以上に美しい久留美を目の前にして、思わず褒めことばが口に出る。

「どこにいく? ここら辺、あたし知らんから」

 ちいさな手でハンドルを握りしめながら、久留美は瞳を輝かせた。

「あんまり人の多い所より、ふたりになれる所がいいかな?」

「ホテル以外やったら、どこでもいいよ(笑)」

 笑いながら久留美はいった。白のブルゾンに黒いミニスカート。ロングブーツにブラウンのタイツを穿いている。お洒落だなぁと思った。

 ぼくは駐車場が有るカラオケBOXを提案。サイドシートから久留美をナビした。

 夜の車通りはさほど多くもなく、直ぐに目的地に到着する。ぼくと久留美はワゴンRから抜け出して店内に入っていく。カウンター越しの店員が「いらっしゃいませ」とあたまを丁寧に下げる。
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