ストレイ・キャット☆シュ-ティング・スタ-
 久留美の話しを聞いていると、すごい人生を歩んで来た女性みたいであった。外見を見ると全然普通のかわいらしい女性に見えるのだが、だからこころに病を持ったのかとぼくは久留美のことがとても愛しく思えた。そして、数時間前には思ってもみなかったこの空間に、ぼくのこころは静かに踊っていた。

「あ、そうだ、前に彼氏に会いに行くってメールくれたときに、ぼくの嫉妬から、彼氏の腕の中でいいから、星空見てってメールしたよね! 久留美ちゃん、見上げてくれた?」

「……」

 久留美はうつむいて、黙り込んだ。

「見てくれてないんだ(涙)」

「ごめんなさい」

 残念に思ったが、今、こうしてぼくと一緒に居るという現実が、そんなことどうでもよくしてくれた。それから久留美はサイトで遭遇した様々な出来事を、面白おかしく話してくれた。

「この前、ショーゴ君にサイトで出逢う前にメールしてた子が居るんやけど、二十一歳の男の子で、写真交換したら、えってな感じの子で(笑)カッコイイ度4やったのに……」

「それで、どうしたの?」

「会ったよ。その子の部屋にいった」

 淡々と話す久留美。ぼくは久留美の行動が心配になって、思わず寝てしまったのかと聞いてみた。

「ううん! 朝まで話してただけだよ」

 初めて会った相手の部屋に入ったり、こうして今、ぼくとカラオケBOXという個室に入る隙があるっていうのは、そこら辺に居るただのヤリマンかと一瞬あたまをかすめたのだが、久留美の話しをよく聞いてみるとどうやら違うようだ。

 やっぱり久留美は何かをこころの中に持っていて、その自分の中にある不安を誰かに癒されたいからの行動なんだろう。
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