ストレイ・キャット☆シュ-ティング・スタ-
「どうする? もういきます?」

「どうしよう。ショーゴ君決めて」

 ぼくは、久留美ともう少し一緒に居たくて、三十分の延長を頼んだ。

 久留美は歌うこともせずに、よく自分のことを話してくれる。とても人懐っこくて、ぼくはそれがとてもうれしかった。そして幸せだった。

 ふたりして、歌も唄わず話しばかりしていると、あっという間に三十分という時間は過ぎ去って、ぼくと久留美は店をあとにする。午前二時二十分。寒さが増して急いで車に駆け込む。

「どうしよう。どこにいく?」

 ワゴンRの車内でぼくが訊ねると、久留美はちいさな手でハンドルを握りしめながらささやいた。

「う~ん、部屋とかって駄目なん?」

 ぼくは驚いたが、今、部屋には誰も居ない。妻、珠希は実家に帰っている。

「散らかっているけど、いいかな」

「うん!」

 ぼくは珠希を想いこころを痛めたが、久留美に自宅までの道順を案内した。



< 79 / 103 >

この作品をシェア

pagetop