ストレイ・キャット☆シュ-ティング・スタ-
そしてぼくが舌先にほんの少し力を入れると、久留美の口から甘い吐息が漏れた。その瞬間、ぼくの目の前に無数のちいさな星たちが輝き出した。

 極上のシャンパンが泡立つようにそのちいさな星は幾重にも重なり合い、キラキラと虹のように七色の光を帯びて、ふたりの周りを縁どっていく。久留美の着けているコロンの香りがぼくの欲情を煽り、耐え切れずことばにする。

「いま、今ぼくは、久留美ちゃんのことが愛しくてたまらないです。いま、今一生懸命に久留美ちゃんのことが大好きです。いいかなそれで……」

「今、一生懸命に?」

 大きな瞳で視線を逸らさずに、真っ直ぐこちらを向いて久留美は聞いた。

「うん」

 無数の星たちが静止して、ぼくと久留美を見つめている。

「今、一生懸命にあたしのことを想ってくれてるん? うん、いいよそれで」
 
 大きく瞳を広げて笑う久留美。

「サンキュ」

 ふたりを見つめていた星たちが、ふたたび踊り出す。そしてその星たちがいっせいに砕け散り、何十倍、何百倍にも数を増やしていく。ぼくたちの周りで踊っていた星たちは、リビング全体に膨れ上がり、それからもどんどんと数を増やしていき、リビングに止まらず隣の部屋、そしてその向こうへと広がっていく。それとともに銀河全体の星たちが音速のスピードでその一帯に集まり、星たちが放つ光が螺旋状になる。

 ぼくは洋服を脱ぎ捨て、生まれたままの姿になると、久留美はうつ向きちいさく肩を落とした。ぼくはその仕草がたまらなく愛しく想い、思わず抱き寄せた。

 久留美の着ている洋服を、一枚ずつゆっくり脱がしていく。

 久留美の透き通るような白い肌にちいさな星が無数に張り付き、それに月明かりが照らされてより一層白さが増してくる。

 久留美の身体は真白に光を放ち、ぼくの瞳と記憶の奥深くにその姿を焼き付けていく。
< 82 / 103 >

この作品をシェア

pagetop