変わりゆく華たち 第一幕 散ル華
「聞こえている。それと“ちゃん”付けして呼ぶな。
それで?俺はそれを使ってお前と戦えばいいのか?そんな事をして何になるんだ」
俺は沖田の右手に持たれている刀を指をさす。
「えー?そんな事もわからないの?
僕と君がこの真剣で勝負をして伊織ちゃ…じゃなかった。伊織くんが勝ったらここから出ていける。
けど、僕が勝ったらおとなしく屯所にいてもらう。
わーー、楽しみだな〜。僕、君ともう一度勝負ができるなんて」
「…昨日は呆気無く殺られたのに随分と自身があるんだな。」
俺は腰に指してある刀に手を置く。
「じゃあ決まりだね」
沖田はそう言うと道場の方へ歩いていき、隊士たちに指示を出している。
大方、ここから出るようにでも言ってるんだろう。
「僕は君がどんな腕してるか知らないけど、総司は強いからね?昨日は多分手を抜いてただけだと思うけど」
フフフ、と嫌味のように笑いながら斎藤は道場に入っていく。
斎藤の言うとおり昨日は沖田も土方も手を抜いていただろう。
だがそれは俺だって同じだ。
だから後ろから呆気無くやられた。
が、今日はそう簡単に殺られない。
なんせ、この屯所から出れるんだからな。
こんな絶好の機会を逃すわけにはいかない。
沖田。
楽しみにしておけ。
貴様の思い通りにいかないことを終わってから後悔するといい。