変わりゆく華たち 第一幕 散ル華
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道場で稽古をしていた隊士を追っ払い、広々とした道場の壁に寄りかかる俺は、沖田の準備を待っていた。
「防具外すだけで、何故そんなに時間がかかる」
「ちょっと待ってて、あとちょっとだから!」
「そう言いはじめて
どれくらい時間が経ったと思ってるんだ」
「も〜!なんでこんなに硬結びするんだよ〜!」
防具を付けない形でやると決まったものの、
沖田はさっきまで稽古をしていたため、胴やら小手やら色々つけいる。
が、全て硬結びしたらしく、一向にとれない。
防具ひとつ、まともに付けられない。
一番組組長、沖田総司は意外と不器用なんだな。
「とれた〜!!」
「いや〜、一くん。ありがとう。助かったよ。じゃあ伊織ちゃ…じゃなかった、伊織くん」
貴様、わざとだろ。
わざとやってるだろう。
まあ、いい。
ここに連れて来られてたまった鬱憤はあんたで晴らわせめもらう。
「僕と死合をしようか?」
ヘラヘラした雰囲気を消し、口元に笑みを残しながら沖田は言った。
斎藤は道場の壁に寄りかかる。
俺は鯉口をきった。
俺とあんたの“格”が違うことを今、思い知れ…!
「じゃあ…いくよ?」
「来い」
沖田は鞘から刀を抜き俺の方に走ってきた―――。