Crescent


「琴音さん待ってっ」


真下さんに呼び止められて帰ろうと出入り口に向かう足を止めた。



「店長、橘様の言う通り今日は販売だけだし暫くは私達だけで何とかなりますよ。
だから琴音さんを送ってあげて下さい」

「真下さん私は本当に大丈夫だから」


「琴音ちゃん送ってくよ。
着替えて来るからちょっと待ってて」


澤野さんは、優しいから送りたくなくても頼まれたら送ってくれるんだよね。


お店を抜けてまで送って貰うなんて、やっぱり良くない。
断らないと、そう思うのに声が出なくて。


着替える為に奥に行ってしまった。


「みずきさん、どうして」


「お節介だったよね。
でもね黙って見てられなかったの」



奥から私服に着替えた澤野さんが出てきた。


「じゃあね、楽しかったわ。
また一緒にワイン飲もうね」


「はい。
私も楽しかったです。
マンションにも泊めてもらって、ありがとうございました」

澤野さんにバッグを持って貰ってアンジュを出た。



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