Crescent
夜の公園で泣いてる女がいて、普通なら見なかったフリをして帰る所なんだけど……なんでか帰れなかった。
泣いてる姿が気になった。
横に座っても俺に気付かずに泣いてる。
つい座ってしまったが、泣いてるのは知らない女で俺とは何の関係もない。
……今の俺ってかなり怪しいよな。
…やっぱり気付かないうちに帰った方が良いかな。
どうしたものかと考えながら空を見上げれば三日月だ。
「三日月か……」
つい声に出して言ってしまってから、まずいって思った。
隣をみると驚いた泣き顔がこっちを見ている。
「あっ、あのさぁ……強い光を放つ満月が神秘的でいいって言うけど俺は三日月の方が好きなんだ」
俺の咄嗟に焦って続けた言葉なんて無視されると思ったのに。
「私は、どっちも好きですよ」
知り合いに話すように返事が帰って来た。
なんだか安心して、その後は何も話さずただ二人で月を眺めていた。