君と私を、夜空から三日月が見てる
ああ、もう。
心臓に悪いったらありゃしない!!

私は、いまだにドキドキしながら、赤くなった顔を髪の毛で隠すようにして仕事を始めた。
それにしたって、掃き溜めといわれてる清掃にイケメンが二人もいるなんてびっくりだわ!
確かに、モールゾーンのショップにはカッコイイ人結構いるけど、内部の人間にあんな人たちがいるなんて、同期に教えたら喜びそう。
そんなことを考えつつ、作業をしてた時だった。

「おはようございます」

急に後ろから声をかけられて、私ははっと振り返る。

「おはようございま・・・す!」

そこに立っていたのは、化粧品メーカーHMCの制服を着た若い女の子だった。
肩までの髪にゆるいパーマをかけて、大きな目を更に大きく見せるつけまをつけて、メイクもばっちり決めた可愛い子。

「あ・・・」

そこにいたのは、そんなに可愛い容姿にもかかわらず、昨日、ものすごい顔で私を睨んでいた、HMCの販売員高田えりかだった。
高田さんは、グレーの作業服姿の私を頭の天辺から足の先まで見回して、なぜか、にっこり笑った。

「ひっどいカッコですね!めっちゃ作業服だしね!
あ・・・肌も荒れてますよ?もう少し化粧でもしたほうがいいと思いますぅ
もうおばさんだしね!!」

「え・・・・?」

私は一瞬ポカーンとして、高田さんの可愛い笑顔をまじまじと見てしまった。
3秒ほどで、自分が何を言われたのか理解して、だんだんむかついてくる。
そんな私の目の前で、彼女はくるっと背中を向けると、すたすたと自分の売り場に歩いていってしまったのだ!

ちょおおおおっとおおおおお!
なんなのあれ!??
っていうかね、なんで私があんなこと言われないといけないのよ!
一体私が何をしたっていうの!!!

むっかーーー!!
判りやす過ぎ!!
っていうか、私なんかにヤキモチやいたってしょうがないじゃない!!
可愛いのに不幸なのかな?!

私は、イライラしながら光沢度のチェックをしてファイルに書き込んでいった。

その時、ふと思った。

少なくとも、彼女は私よりも長く柿坂君を知ってるはずなんだから、柿坂君と仲良くなれるチャンスなんか山ほどあったはずなのに。
あんな可愛いんだし、大概の男なんかすぐに遊んでくれそうなんだけど・・・
なんで私にあんなこと言わないとならない訳があるんだろう?

「うむぅ・・・・」

私は、眉間にしわを寄せて思わず考えこんでしまう。


何故柿坂君が、あんな可愛い女の子にそっけないのか・・・
その理由は、この後、案外早くわかることになる。
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