君と私を、夜空から三日月が見てる
☆
清掃部門のボスこと、東郷 聖二さんから、業務用PHSに連絡があったのは午後2時半の頃だった。
その時まで、柿坂君はぐっすりパイプ椅子で寝たままだったんだよね・・・
柿坂君が寝てる間、私は、とにかく、昨日彼に教えてもらったとおり、ひらすらゴミ箱のゴミ回収をしつつ、ハンディ掃除機で売り場を掃除しまくっていた。
そんなのことしてる間に、トイレ清掃のパートさんが来ていて、売り場で初めて会って、「よろしくお願いします!」なんて挨拶を交わしていた。
そんなことしてたら、東郷さんからPHSが鳴り、私は慌てて柿坂君を起こしにいった訳なのだ。
エテルノゾーンで働いてる人間は、基本的に、テナントが立ち並ぶモールゾーンの事務局に来ることはない。
だから私も、このエテルノショッピングモールが始業して4年間、ほとんどといっていいほどモールゾーン事務局に立ち寄ったことなんてなかった。
テナントさんが200店舗近く立ち並ぶモールゾーン。
その1Fバックヤードの片隅に、モールゾーン事務局はあった。
モールゾーン事務局と、清掃部門事務所の入り口は別々だったりする。
それは何故かというと、清掃は沢山の資材や洗剤を使うので、その倉庫も兼ねながらスペースを取っている、かららしい。
不思議に思って聞いてみたら、そう柿坂君が教えてくれた。
そして今・・・
柿坂君は、私の目の前で、清掃部門の『ボス』こと総マネージャー東郷さんに、さっきからこっぴどくお説教を食らっている。
「おまえは、俺の話を理解して、尚且つそれに従ってきちんと仕事を進めているのか?」
東郷さんは、デスクの上に両肘をついた姿勢で、低く鋭くそう言いながら、一重で切れ長のシャープな眼でまっすぐに、傍らの柿坂君を見ている。
柿坂君は、父親に怒られる子供のように肩をすくめて、ほんとにそれこそ『しょぼーん』と言った感じでこう答えた。
「その・・・つもりです、一応」
「一応・・・・だと?」
ぎろっと、東郷さんが柿坂君を睨んだ。
柿坂君は、はっとして慌てて首を横に振る。
「あ・・いえ!えっと・・・・すいません」
「書類の提出が遅れれば、定期的に尚且つ確実に入れないとならない特別清掃の許可が下りるのが、予定より遅れることになる。
許可が遅れれば、その分建物は汚損する。
この規模の建物と、この規模の集客だ。
清掃がサボればあっという間に建物は汚損度を増す。
汚損度が増したら、この建物の価値は下がり、一般客の印象も下降する。
そうなればモール全体の売り上げも下降することになる。
たかが清掃、されど清掃。
この仕事を馬鹿にするんじゃない。
まかりなりにも、おまえは、エテルノゾーンの責任者だぞ?
その責任がどういうものなのか、きちんと頭に入れて仕事をしろっ。
いいなっ?」
「はーい・・・・・」
「なんだその気の抜けた返事は!?」
「は、はいっ!」
東郷さんにびしっと言われて背筋を伸ばす柿坂君を見て、なんか可愛いなって思ってみたり、まるで運動部のようだなって思ったり、そんなことが頭をよぎったら可笑しくなってきて、私は、思わず吹き出しそうになってしまった。
真面目に怒られてるのに、笑ったら気の毒だよね!
それはわかってるんだけどね!!
清掃部門のボスこと、東郷 聖二さんから、業務用PHSに連絡があったのは午後2時半の頃だった。
その時まで、柿坂君はぐっすりパイプ椅子で寝たままだったんだよね・・・
柿坂君が寝てる間、私は、とにかく、昨日彼に教えてもらったとおり、ひらすらゴミ箱のゴミ回収をしつつ、ハンディ掃除機で売り場を掃除しまくっていた。
そんなのことしてる間に、トイレ清掃のパートさんが来ていて、売り場で初めて会って、「よろしくお願いします!」なんて挨拶を交わしていた。
そんなことしてたら、東郷さんからPHSが鳴り、私は慌てて柿坂君を起こしにいった訳なのだ。
エテルノゾーンで働いてる人間は、基本的に、テナントが立ち並ぶモールゾーンの事務局に来ることはない。
だから私も、このエテルノショッピングモールが始業して4年間、ほとんどといっていいほどモールゾーン事務局に立ち寄ったことなんてなかった。
テナントさんが200店舗近く立ち並ぶモールゾーン。
その1Fバックヤードの片隅に、モールゾーン事務局はあった。
モールゾーン事務局と、清掃部門事務所の入り口は別々だったりする。
それは何故かというと、清掃は沢山の資材や洗剤を使うので、その倉庫も兼ねながらスペースを取っている、かららしい。
不思議に思って聞いてみたら、そう柿坂君が教えてくれた。
そして今・・・
柿坂君は、私の目の前で、清掃部門の『ボス』こと総マネージャー東郷さんに、さっきからこっぴどくお説教を食らっている。
「おまえは、俺の話を理解して、尚且つそれに従ってきちんと仕事を進めているのか?」
東郷さんは、デスクの上に両肘をついた姿勢で、低く鋭くそう言いながら、一重で切れ長のシャープな眼でまっすぐに、傍らの柿坂君を見ている。
柿坂君は、父親に怒られる子供のように肩をすくめて、ほんとにそれこそ『しょぼーん』と言った感じでこう答えた。
「その・・・つもりです、一応」
「一応・・・・だと?」
ぎろっと、東郷さんが柿坂君を睨んだ。
柿坂君は、はっとして慌てて首を横に振る。
「あ・・いえ!えっと・・・・すいません」
「書類の提出が遅れれば、定期的に尚且つ確実に入れないとならない特別清掃の許可が下りるのが、予定より遅れることになる。
許可が遅れれば、その分建物は汚損する。
この規模の建物と、この規模の集客だ。
清掃がサボればあっという間に建物は汚損度を増す。
汚損度が増したら、この建物の価値は下がり、一般客の印象も下降する。
そうなればモール全体の売り上げも下降することになる。
たかが清掃、されど清掃。
この仕事を馬鹿にするんじゃない。
まかりなりにも、おまえは、エテルノゾーンの責任者だぞ?
その責任がどういうものなのか、きちんと頭に入れて仕事をしろっ。
いいなっ?」
「はーい・・・・・」
「なんだその気の抜けた返事は!?」
「は、はいっ!」
東郷さんにびしっと言われて背筋を伸ばす柿坂君を見て、なんか可愛いなって思ってみたり、まるで運動部のようだなって思ったり、そんなことが頭をよぎったら可笑しくなってきて、私は、思わず吹き出しそうになってしまった。
真面目に怒られてるのに、笑ったら気の毒だよね!
それはわかってるんだけどね!!