駆逐系男子【更新再開】
「ちょっと、なにすんのよ!」
踏まれていた手は、まだじんじんと痛むが、それどころじゃない。
「なんで、こんなことするん……ですか」
彼女を見ると、意外なことにすごく泣きそうな顔をしていた。
「あんたたちを別れさせないと、あたし……!あいつに何されるか分からないからよ!」
彼女はしゃがみ込んだままの私の肩を思いっきり掴み、叫んだ。
「ねぇ、別れるって言いなさいよ!ほら早く!」
「あ、あ……」
怖い、怖いよ。
誰か助けて。
吉良くん……!
私の肩を思いっきり揺さぶる彼女の顔は、もうはっきりと見えない。
いや、どんな顔をしているのか見るのが怖いと言ったほうがいいのかもしれないけど。