ファンレター



「多美やばいって。謝ろう」


「いや!だってあいつらムカツクじゃん。とりあえず逃げよ」


「うぇ~っ!」



どこの路地かもわからない所をひたすら走る。

後ろを振り返れば、なぜか男の人も増えてる。



なに?



「コラー!泥棒ー!」



はっ!

お勘定払ってない!



「まずいまずい!多美、止まろうっ」


「逃げられるって」



壁に挟まれた通路を

右に、左に……



「ダメ、財布置いて来た!……生徒手帳、入ってる」


「はぁ!?」



力なく多美の足が止まった。

荒い息が二人の間にいくつも吐き出されて。



当然のことながら、捕まる私達。



「あははっ!十の友達?ただの泥棒じゃん」



追いついた女の子達にも笑われ、店の人には怒られ。



……当然、学校に連絡され。







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