ファンレター
「あれー?なんかさっきより不安そうな顔してる気がするんだけど。…桂さん、何かしました?」
私の隣にポンと勢いよく座って、桂カメラマンを恨めしく見上げる十。
「あほたれが!優しーく面倒みてたっちゅうの、ね」
桂カメラマンは私にウインクをする。
なんか仲よさ気で、ちょっとうらやましい。
「じゃあどうした?なんかあったのか?」
心配そうに私を覗き込む十。
そんな顔で見ないでよ。
胸が苦しくなる。
「濱田さん……と会った」
「え、サキ?来てたの?」
私が呟くと、十は桂カメラマンに問いかけた。
私は「羽田さん」で、あの人は「サキ」か。
想像できないくらい差を感じた。
「仕事入ってるしすぐ帰ったけどね。余計なことするなって言われた」
桂カメラマンが肩を落とす。
「全然余計じゃないですよ!感謝してます。行こう、羽田さん」
桂カメラマンに愛想をして立ち上がると、十は私の手を取り部屋の扉を開いた。
「あまり遅くなるなよ。どこに記者がいるかわからないし、何よりその子、脱走中だから」
桂カメラマンの言葉に我に返る。
そうだった(汗)