ファンレター
明日、十に会えるかな。
でも、会ってどうしようか。
私はまだ、何一つ決断できないままだった。
ただ、何かを考えたとしても、十の前に行ったら、きっとそんなこと全部忘れてしまう。
十の笑顔に吸い込まれて、悩んでたことなんて全部どうでもよくなって…
結局、大人しく応援だけし続けるなんて無理だったってこと?
尾根さんに言われたのに。
それで納得したはずなのに。
私は、どうしたいのかな。
本当の、本当の心の中。
十に会って、答えが出るわけじゃないけど…
私はもう一つため息をついた。
「やっぱり何かあったな。遠慮なく言ってみろって。たいしたことはしてあげられないかもしれないけど、言うだけでもスッキリすると思うぞ」
戻って来た桂さんが、優しく私を見下ろした。