ファンレター
若い従業員達が帰って行くと、FUTURE SPACEからは音楽が消えて。
ほんのりライトを残した舞台が、小さな空間に残されてた。
そこから一つの足音が、私達の部屋にゆっくり近付いて来る。
そして、扉が開かれた。
ガチャっ
「…っ!尾根さん!」
和んでいた空気が、一瞬にして変化した。
大北さんは扉に背を向けて、桂さんは視線を泳がせながら頭をかいた。
多美は状況がわからずキョロキョロと周りを見渡して。
私はと言えば、何一つとして逃がしようのない張り詰めた空間に、それでも負けまいと必死に立つだけだった。