ファンレター
学校に着くと、もう2時間目が終わってた。
教室の雰囲気は、いつもと変わってない。
「涼、休むのかと思った。大丈夫?」
そしていつもと同じ多美。
十のこと、クラスの女の子に話してないのかな。
「ねぇ、多美……」
「昨日のことは秘密にしよう。あんまり噂広がると、十くんに会いにくくなるし。そうそう、十くんが東京帰る時はちゃんと教えてね。あー、あと何回会えるかなぁ」
多美の変わらないペースにホッとする。
「うん…そうだね」
私と十のことは、とくに何も思ってないみたい。
二人の会話に参加するように、窓の外で雨が端切れ良く音を鳴らし始めた。