世界の終りで愛を歌う

 さようなら。ごめんなさい。さようなら。ごめんなさい。


妻のその言葉が私の頭の中をグルグルと回っていた。


私は気がつけば泣いていた。


「泣くほど嬉しいの!?」


と彼女が飛び上がりそうに全身で喜びながら言った。


「嬉しい訳があるかよ!」


「何ですってー!?」

妻は物凄い剣幕で怒り出した。

全く訳が分からない。
七つの習慣で想像し、
先を見通す事が大切だって言っていたのにー!

と思ったが、推測が外したのは私である。

総じて、私の想像力が低下したのだ。

と言うか、元々想像力なんて無いんだよー!


「何とか言えや! 嬉しくないってどういう意味だ! コラ!?」

私の胸ぐらを激しく掴み、前後に激しく振る。


「ごめん……妄想してて話を聞いてなかった」


「なぁんですってー!」


高級レストランの中に彼女の酷く大きな叫び声がこだました。


レストランの中にいた人間全てが中央の二人の男女に注目した。


美女と野獣に。美女は怒りで真っ赤に燃え、野獣は恐怖で小刻みに震えていた。
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